2013年1月21日月曜日

中国メディアの大気汚染報道に変化-前例ない率直な批判


こんにちは。深刻化する中国の大気汚染。とくに北京のひどさはよく指摘されています。いよいよ当局も見過ごせない事態になってきたように感じます。以下、ウォールストリートジャーナルの記事より。


中国メディアの大気汚染報道に変化-前例ない率直な批判

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324050504578242431354796910.html
 
 【北京】北京の大気汚染が近年で最悪の状態になっていることを受け、国営メディアから前例のない率直な批判が相次いでいる。これは、問題が危機的な水準に達していることを政府が暗に認めていることを示すもので、政治的な反発が起きる恐れも出ている。
 
 中国当局のプロパガンダである国営メディアはこれまで都市部の大気の質の悪さについて、急速な経済成長の代償だと説明することが多かった。しかし、北京で息を詰まらせるようなスモッグによって視界が200メートル先にまで減り、空港で航空機の運航に支障が出たり、一部の高速道路が閉鎖されたりしたことを受け、論調を変えた。
 
 
 中国中央テレビ(CCTV)は13日夜のゴールデンタイムのニュース番組に続き、14日正午のニュースでも大気汚染をトップ項目として扱った。一方、中国共産党の機関紙「人民日報」は14日、「美しい中国は健康的な呼吸から始まる」という見出しの社説を1面に掲載した。
 
 同紙は「広範囲にとどまるもやは、われわれの視界を不明瞭にしているが、それは喫緊に汚染をコントロールする必要性を一層明確にした」と指摘し、「環境保護規制は強化されるべきだ。政府機関がこれに率先して取り組み、公用車の利用を減らすべきだ」と訴えた。
 
 環境専門家たちによれば、政府は国民の不満をもはや無視できないため、より率直に問題に対応しようとしていると指摘する。
 
 痛烈な記事で知られる中国の週刊紙「南方週末」の元記者で、現在非営利のメディア団体「中外対話」で編集者を務める劉鑒強氏は「指導部は、国民が民主主義は20年ないしそれ以上待てるが、きれいな大気についてはそれほど待てないことを認識している」と述べた。中外対話は環境問題を追跡し、インターネット上で英語と中国語による出版活動を行っている。
 
 
 劉氏は、政府によるこうした方針転換が昨年11月に共産党指導部が習近平氏率いる新指導部に入れ替わったことに直接関連していると示唆している。同氏は「新指導部は環境問題に関するより多くの批判を容認したいとのシグナルを発しているように見える」と述べた。
 
 ここ数日間の相次ぐ報道のきっかけは、汚染を示す数値が警戒すべき水準にまで上がったことだった。北京の米国大使館の大気汚染モニターによると、12日は微小粒子状物質(PM2.5)の値が1立方メートル当たり886マイクログラム、つまり世界保健機関(WHO)の推奨する水準の35倍にまで達した。微小粒子状物質は体内の組織に浸透するため、がんなどの疾患につながる恐れがある、とりわけ有害な物質だ。
 
 中国政府は13日に初めて最も警告の度合いが強い「オレンジ」のスモッグ警報を出した。これは高齢者、子ども、それに呼吸器疾患を抱える人々に屋内にとどまり、汚染物質への接触を制限するよう求める警告だ。街中では、市民がマスクや空気清浄器を買いだめする姿が目撃された。
 
 
2013年 1月 15日
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324050504578242431354796910.html
 

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